理事長ご挨拶

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社会福祉法人全国盲ろう者協会
理事長 真砂 靖(まなご やすし)
 

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就任ご挨拶 

 全国盲ろう者協会が、盲ろう者支援のための通訳・介助員の養成や派遣事業などを行うことを目的として設立され、四半世紀が経ちました。この間、先人たちの弛まぬ努力により、視覚と聴覚の重複障害である「盲ろう」という言葉がようやく少しは知られるようになり、又、アメリカのヘレン・ケラー・ナショナルセンター(注)のような盲ろう者のためのセンターを我が国にも作るための調査研究も始まっています。
 それでも、まだまだやるべきことが山積しています。協会に登録している盲ろう者は、約1,000名です。また、通訳・介助員のサービスを利用している盲ろう者も、全国で約1000名に過ぎません。協会が、身体障害者手帳に基づき行った平成24年度の調査によれば、視覚と聴覚の重複障害者は全国に少なくとも1万4000人という結果です。また、盲ろう者であっても、視覚と聴覚の両方の手帳を所持していない人もいるので、実態はもっと多いとも言われています。仮に、1万4000人を前提としても、一割未満の登録率であり、通訳・介助サービスの利用率です。もっと多くの盲ろう者が、コミュニケーションや移動の支援を得て、社会参加を進めていく必要があります。
 協会は、有志の方々の会費・寄付によって支えられていますが、今の活動でも、赤字が発生しています。私は公務員時代、社会保障予算を担当したことがあります。社会保障予算は、最大の予算項目で、30兆円に上ります。にもかかわらず、本当に困っている分野には、その対象人数が少ないこともあってか、充分に光があたっていないのが実情です。
  皆様のご理解とご協力が盲ろう者の生きることを支え、その社会参加を可能にします。協会へのご支援をお願い申し上げます。
 
(注)有名なヘレン・ケラーは、視覚・聴覚の両方を失い、多くの場合発声も困難でした。そのすさまじいハンディを克服して、世界の障害者に夢と希望を、そして健常者に感動を与えました。その陰には、彼女自身の努力と才能もさることながら、サリバン先生の献身的な支えがありました。ヘレン・ケラー・ナショナルセンターは、皆でこのサリバン先生の役割を担おうと、アメリカに設立された盲ろう者の支援施設です。

(弁護士・元財務事務次官)