理事長ご挨拶      

2014年8月

ご挨拶

理事長 阪田 雅裕

 今年も盛夏の時期となりました。この1年間、皆様方には当協会に対しまして変わらぬご支援を賜りましたこと、改めて厚く御礼申し上げます。
 皆様方の多大のご支援にもかかわらず、残念ながら、昨年度の当協会の収支は2年続けての赤字、それも一昨年度の2百万円余とはけた違いの大幅な赤字を計上する結果となってしまいました。協会の運営に責任を負う者として、深くお詫び申し上げます。昨年度は幸いにして、これまでの余剰金を取り崩して赤字を補てんすることができましたが、このような状況で推移すると、数年で累積余剰金も底をつき、協会の存立そのものが危機に瀕することになります。
 今般の赤字には、職員の退職等に伴う一時的な要因も加わってはいますが、長年継続的にいただいていた大口の寄付が途絶えるなど、財政収支に構造的な問題があることも否定できません。そこで、今後、協会には、事務運営体制の思い切った見直しにより、経費の大幅な削減を図るとともに、収入の確保に向けても抜本的な取組みを行うことが求められます。こうした過程において、会員たる盲ろう者の方々や全国の友の会の関係者にも何かとご不便、ご負担をおかけすることも予想されますが、こうした厳しい現状をなにとぞご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。
 また、賛助会員の皆様などから頂戴するご支援がこれまでにもまして協会の大きな支えとなってまいります。引き続き当協会と全国の盲ろう者に温かいご支援を賜りますよう、改めてお願い申し上げる次第です。

 当協会の発足から20年以上が経過しました。この間、盲ろう者友の会など、全国各地に盲ろう者支援の組織が設置され、また、法制的にも盲ろう者支援が地方自治体の事業として明確に位置づけられることになりました。もっとも、通訳・介助者養成、派遣事業の予算規模は都道府県によって異なり、未だに盲ろう者1人につき1ヶ月当たり10時間にも満たない自治体が少なくありません。何といっても通訳・介助者の確保は盲ろう者のいわばライフ・ラインですから、引き続きその拡充に向けて協会の努力が求められることはいうまでもありませんが、協会設立時の大きな目的は一応達成されたといえましょう。
 その意味では、協会の活動もいよいよ次のステージに進むべき時期にきているように思います。具体的には通訳・介助者派遣という盲ろう者に対するサービスの提供を超えて、盲ろう者自身の自立を促すための事業の展開です。そのためには、盲ろう児の学習指導、盲ろう者の生活自立訓練、さらには盲ろう者の就労訓練等を総合的に実施することのできる拠点、日本版ヘレンケラー・センターともいうべきナショナルセンターの設置・運営が不可欠です。
 すでに東京都では、数年前に東京都盲ろう者支援センターが設置され、東京盲ろう者友の会がその運営にあたっているほか、当協会でも過去2年間、厚労省の委託を受けて計8名の盲ろう者を対象に各々1ヶ月間の自立訓練をモデル事業として実施してきました。このようにナショナルセンターの運営に向けてのいわば助走は始まっているのです。
 もっとも、当協会の財政基盤などに照らすと、ナショナルセンターの設置自体はもとより、その後の運営も自前の収入だけを頼りに行うことは不可能ですから、その設置・運営には国の財政支援が大前提となります。今後、東京都の盲ろう者支援センターの運営実績やモデル事業の実施状況を踏まえて、国に対し、ナショナルセンター設置の必要性について理解を求め、併せてその運営のあり方についてもさらに検討を深めていきたいと考えています。

 さて、一昨年まで当協会の事務局長を務めてくださった塩谷治先生がさる6月23日に逝去されました。ご承知の方も多いと思いますが、塩谷氏は、福島智理事の筑波大学附属盲学校での恩師であり、彼の進学、そして大学・大学院での勉学を中心になって支えて来られました。塩谷氏は、当協会の実質的な創設者であっただけではなく、創設後もヨチヨチ歩きの協会をこれまでに育て上げてくださった大恩人です。福島さん以外にも、先生に勇気づけられ、生きる目標を与えられた盲ろう者は少なくないはずです。
 そうした皆様とともに、謹んで先生のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。

(協会だより第25号より抜粋)